[書評]「アマゾンのすごい問題解決」(佐藤将之)中間管理職の悩みを解決するヒントが満載です。

[書評]「アマゾンのすごい問題解決」(佐藤将之)中間管理職の悩みを解決するヒントが満載です。

組織に属していると、少なからず共通の悩みがあるかと思います。

特に中間管理職ともなると上から、下からと圧力が加わり、悩みが尽きないもの。

例えば、

  • 「〇〇さんが休むと仕事が滞る」
  • 「部下が思ったとおりに育ってくれない、、、」
  • 「なぜできないのか?」とついつい部下を叱ってしまう、、等

そんな中、今回紹介するのは、「アマゾンのすごい問題解決」

中間管理職の方々の悩みを解決するヒントが載っています。

著書の佐藤さんは、長年に渡り急成長を続けるアマゾンにて、15年の勤務経験があります。

自身の経験をもとに、職場で悩みをもつ中間管理職の方々に向けて書かれた本です。

本書の冒頭で、「本質的な問題解決思考ができているからこそ、アマゾンは長年にわたり急成長し続けられる」と述べています。

個々の能力に頼らず、アマゾンという組織にそのような仕組みがあると言えるでしょう。

そのため、経営者層の方々にも読んでもらいたい一冊です。

中間管理職の悩みを解決するヒントが満載です

本書の中から、悩みの一部を紹介したいと思います。

  • 「〇〇さんが休むと仕事が滞る」
  • 「部下が思ったとおりに育ってくれない、、、」
  • 「なぜできないのか?」とついつい部下を叱ってしまう

こんな悩みに解決のためのヒントを与えてくれます。

「〇〇さんが休むと仕事が滞る」

よくある例として、「〇〇さんが休むと、業務全体が進まない」なんてことはありませんか?

これは、いわゆる「仕事の属人化」と呼ばれており、その人頼みになっていることです。

往々にして、いわゆる「できる人」に仕事は集中しやすいものです。

仕事をお願いするほうも、「Aさんにお願いするといつも遅いので、ついつい、仕事の早いBさんにお願いしてしまう。」

これでは、短期的にはスムーズに仕事が進みますが、もし、フォローする方がいないと、、、

  • Bさんが休むと、業務が滞る
  • Bさんの負担が大きくなり、最悪の場合辞めてしまう
  • Aさんの成長機会を奪ってしまう

長期的な視点では、リスクが潜んでいます。

本書では、このような悩みの原因は、「責任範囲の明確化」が一つの鍵になっていると述べています。

この場合、リーダーのとるべき対策として、

  1. 各人の行っている業務内容を把握する
  2. 業務内容を再分配する
  3. 誰かが休んだ場合、誰がどのようにフォローするかを決めておく

をするといいよと述べています。

1.各人の行っている業務内容を把握する

チームリーダーは、各人が行っている業務内容を箇条書きにしたメモを提出してもらいます。

そのメモをもとに、面談などを行いさらに詳しく業務内容を聞きます。具体的には、その業務を行うまでのステップなどです。

また、お茶入れや、ゴミ捨て、資料整理などメモには書かれていない、本人が気づいていない業務をあぶり出します。

こうしてチームリーダーは、「自分のチームでどんな業務が行われているのか?」を俯瞰して見ることができます。

一度、各人にひもづいている業務を引き剥がすイメージです。

2.業務内容を再分配する

1.で、全体が把握できれば、当然ながら業務過多になっている人間があぶり出されます。

リーダーは、一部の業務を担当替をすることにより、業務過多の社員の負担を軽くします。

ここで大事なのが、全員の責任範囲を明確化にしてあげることです。

3.誰かが休んだ場合、誰がどのようにフォローするかを決めておく

フォローすると言っても、完璧な形で本人に取って代わることは難しいです。

この場合、「他のメンバーの業務に支障をきたさない」程度のフォローは可能ではないでしょうか?

その一つとして、「自分が休んだ場合、この業務に関しては、〇〇さんに判断、指示してもらう」という情報をチーム内で共有しておくことが大事です。

部下が思ったとおりに育ってくれない

「部下がいちいち、『次は何をしたら良いでしょう?』と聞いてくる」と言った事はないでしょうか?

部下が自分で判断し、行動できないという悩みがあるものです。

この場合も、責任の不明確に起因すると本書では述べられています。

上司もしくは、リーダーであるあなたは、自分の部下に対して、責任範囲を明確に示しているでしょうか?

例えば、、、

  • 何をどこまで頑張ればオッケーなのか?
  • 「ここまでの権限を与えるから」と伝え、実行していますか?
  • その部下が次に目指すポジションでは、どのような経験や能力が必要なのかを伝えていますか?

人は、最終ゴールと期日を伝えれば自然と行動するものです。

また、権限移譲をすることも重要です。

部下が、いちいち「次は何をしたら良いでしょう?」と聞いてくるのは、あなたの許可が必要だと思っているからです。

「ここまでは、あなたに任せる、ここから先は、私の確認・許可が必要」と責任範囲をきちんと伝えてあげれば、部下は、その責任範囲内で、自分で判断して動いてくれるものです。

上司の役割は、「部下を育てるのではなく、育っていく環境を作ることである」と本書では述べられています。

「なぜできないのか?」とついつい部下を叱ってしまう

アマゾンでは、「理由なきダメ出し」は存在しません。

それは、「なぜできないのか?」、部下が論理的で納得する説明責任を上司が負っているからです。

ダメな部分はあくまでも「目標と現状のギャップ」であり、部下の能力や人格がダメだという捉え方はしません。

そもそも、部下が目標を達成できないのは、マネジメントをしている上司が「ダメ」なのです。

上司は部下の成功を全力でサポートする役割を担っていて、決して「あなたはダメだ」と判断・非難する役割ではありません。

もしあなたが上司で、「あいつは〇〇だから、ダメなんだ!」というような発言をしたら要注意です。

今一度、自分の胸に手を当てて自問自答してみましょう。

「私は、部下の成功を全力でサポートできているのか、、、?」

本質的な問題解決思考とは?

本書の冒頭で、「本質的な問題解決思考ができているからこそ、アマゾンは長年にわたり急成長し続けられる」と述べています。

この「本質的な問題」とはなんでしょう?

本書は、9章構成となっており、個々の問題に対して解決のヒントを与えてくれています。

僕が思うに、いずれの問題についても、一貫していることがあります。

それは、「お客様をみていますか?」ということです。

これこそが、本書で言いたい、「本質的な問題」なのではないでしょうか?

エア・カスタマー

本書のエピソードの中で、エア・カスタマーという言葉が出てきます。

突然ですが、不毛な会議の損失額を計算した事はありますか?

参加者の時給 × 時間

会議をした結果「何も決まらなかった」では、損失の垂れ流しです。

では、その損失は誰が負担するのでしょうか?

最終的には、お客様です。

アマゾンでは、会議の場に空席を一席設け、そこにエア・カスタマーを座らせるそうです。

お客様がその会議にお金を払いたいと思ってもらえるか?

お客様の視線を意識する事で、不毛な会議はなくなるはずです。

もし、あなたが会議に意味がないと感じているのであれば、架空のお客様を座らせてみましょう。

あなたが、お客様の視点でその会議に参加してみるのも良いかもしれません。

まとめ

「アマゾンのすごい問題解決」(佐藤将之)には、中間管理職の悩みを解決するヒントが満載です。経営者層にも読んでもらいたい一冊です。

よくある悩み

仕事の属人化

解決のヒント・・・

  1. 各人の行っている業務内容を把握する
  2. 業務内容を再分配する
  3. 誰かが休んだ場合、誰がどのようにフォローするかを決めておく

大事なのは、責任範囲の明確化と権限移譲。

部下が思ったとおりに育ってくれない

解決のヒント・・・

ここでも大事なのは、責任範囲の明確化それを部下にきちんと伝える事

そして、上司は、部下を育てるのではなく、育っていく環境を作ることであると心得る事。

「なぜできないのか?」とついつい部下を叱ってしまう

解決のヒント・・・

理由なきダメ出しはNG

ダメなのは、「目標と現状のギャップ」である。

上司の役割は、このギャップを埋めるために全力でサポートする事。

本質的な問題解決思考とは?

結論:「お客様をみていますか?」

エア・カスタマーで常にお客様視点を忘れない。

この記事が参考になったら嬉しいです。
それでは、次の記事でお会いしましょう!