Linuxの起動プロセスで見るカーネルって何?カーネルの役割について解説。
- 2025.01.25
- programming

この記事では、Linuxの起動プロセスを通して「カーネル」という重要な概念について解説します。
私は、アラフォーからITエンジニアになり4年目です。普段はJavaを使った開発に携わっています。
現在Linuxに興味を持ち、学習をしています。今回はカーネルの役割についてご紹介しています。
「カーネル」という言葉は、Linuxやその他のオペレーティングシステムで頻繁に登場しますが、それが何をするものなのか具体的に理解している人は少ないかもしれません。
これを機に、カーネルの基本的な仕組みや役割を理解し、Linuxシステムをより深く知る手助けになれば幸いです。
Linuxの起動プロセスで見るカーネルとは
まずは、Linuxの起動プロセスについて見ていきましょう。
Linuxの起動プロセス
Linuxの起動時は次のプロセスによって起動されます。
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BIOS/UEFIの実行
・コンピュータの電源を入れると、まずBIOSまたはUEFIが起動します。
・ハードウェアの初期化(CPU、メモリ、デバイス検出など)を行い、次にブートデバイスを選択します。
※参考記事:
Linuxの起動プロセスで見るBIOS/UEFIって何? -
ブートローダーの起動
・ブートローダー(例:GRUBやsystemd-boot)がロードされます。
・ブートローダーは、カーネルイメージを選択してメモリにロードします。
・必要に応じて、カーネルオプション(例:シングルユーザーモード)を設定できます。
※参考記事:
Linuxの起動プロセスであるブートローダーの役割とGRUBについて -
Linuxカーネルの起動
・カーネルが起動し、システムのハードウェアやデバイスを認識します。
・カーネルはinitramfs(初期RAMディスク)を展開して基本的なシステムのセットアップを行います。 -
initシステムの起動
・カーネルがinitプロセス(PID 1)を起動します。
・現代のLinuxでは、initの代わりにsystemdやUpstart、SysVinitが使用されることが一般的です。 -
ターゲット/ランレベルの設定
・systemdではターゲット(例:multi-user.targetやgraphical.target)を読み込み、必要なサービスやデーモンを開始します。
・古いSysVinitでは、ランレベル(例:3や5)に応じてスクリプトを実行します。 -
ログインプロンプトの表示
・サービスの起動が完了すると、ログイン画面が表示されます(CLIまたはGUI)。
今回は、カーネルとは何者なのかについてみていきます。
カーネルとは
カーネル(Kernel)は、オペレーティングシステム(OS)の中核部分であり、ハードウェアとソフトウェアを仲介する役割を果たします。
ハードウェア(CPU、メモリ、ストレージなど)は単独では機能しませんが、カーネルがその操作を管理し、ユーザープログラムやプロセスがこれらのリソースを利用できるようにします。
Linuxでは、カーネルはオープンソースのプロジェクトとして開発されており、ユーザーが自由にコードを閲覧・変更・再配布することができます。この柔軟性が、Linuxの高いカスタマイズ性や広範な利用を可能にしています。
カーネルの種類
カーネルにはいくつかの種類がありますが、主に以下の2つが知られています。
モノリシックカーネル:
Linuxカーネルが該当します。このタイプのカーネルでは、プロセス管理、メモリ管理、デバイスドライバなど、主要な機能がすべて一つの大きなプログラムとして実装されています。
マイクロカーネル:
カーネルを最小限の機能に限定し、それ以外の機能をユーザースペースで実現します。代表例として、Minix※1やQNX※2があります。
Linuxはモノリシックカーネルを採用していますが、カーネルモジュールという仕組みで柔軟性を保っています。必要に応じて機能を追加・削除できるのが特徴です。
※1:
Minix(ミニックス)とは、教育目的で設計された小型のオペレーティングシステム(OS)です。
※2:
QNX(キューニックス)は、リアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)の一種で、組み込みシステム向けに設計されたマイクロカーネル型OSです。
カーネルの主な役割
カーネルは、以下のような基本的な役割を持っています。それぞれを詳しく見ていきましょう。
- プロセス管理
- メモリ管理
- デバイス管理
- ファイルシステム管理
- セキュリティと権限管理
1.プロセス管理
Linuxシステムでは、複数のプログラム(プロセス)が同時に実行されます。
カーネルは、それぞれのプロセスに必要なリソースを割り当てたり、プロセス間の切り替え(コンテキストスイッチ)を効率的に行ったりします。
例えば、
・複数のプログラムがCPUを共有できるようにスケジューリングを行う
・プロセスの終了後、解放されたリソースを管理する
このプロセス管理機能がなければ、複数のプログラムを同時に実行することはできません。
2.メモリ管理
コンピュータのメモリ(RAM)は限られたリソースです。
カーネルは、プロセスごとに使用可能なメモリ領域を割り当て、他のプロセスがその領域に干渉しないよう保護します。
また、メモリ不足時にはスワップ領域を利用して効率的にリソースを管理します。
・仮想メモリを使用し、各プロセスが独自のメモリ空間を持つように見せる
・メモリの重複利用を防ぎ、システムの安定性を確保する
3 デバイス管理
カーネルは、ハードウェアデバイスとアプリケーション間の橋渡し役も果たします。
キーボード、マウス、ディスプレイ、ネットワークカードなど、さまざまなデバイスがLinuxシステムで動作するのはカーネルのおかげです。
・デバイスドライバを介して各デバイスと通信する
・入出力操作(I/O)の管理を行う
たとえば、ファイルを保存するとき、カーネルはその操作をディスクドライブに伝えます。
4 ファイルシステム管理
ファイルシステムもカーネルが管理する重要な領域です。
ファイルやディレクトリにアクセスする際、カーネルはそのリクエストを処理し、ハードディスクやSSDとやり取りをします。
・ファイルの読み書き操作を抽象化し、アプリケーションが簡単に扱えるようにする
・権限管理を行い、ユーザーやプロセスが不正にファイルへアクセスするのを防ぐ
5 セキュリティと権限管理
カーネルは、システム全体のセキュリティを担っています。ユーザーごとのアクセス権限を管理し、不正な操作やプログラムの侵入を防ぎます。
・ユーザーモードとカーネルモードを分離し、重要な操作はカーネルモードでのみ実行可能にする
・ファイアウォール機能を提供し、ネットワークのセキュリティを向上させる
まとめ
この記事では、Linuxのカーネルについて基本的な役割を解説しました。
Linuxを深く理解するためには、カーネルについての知識が欠かせません。
カーネルは、プロセス管理、メモリ管理、デバイス管理、ファイルシステム管理、セキュリティといった多岐にわたる機能を提供する、Linuxシステムの中核的な存在です。
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