OSの役割であるジョブ管理について
- 2024.09.15
- programming
ジョブ管理ってなに?
ジョブ管理の流れは?
そもそもジョブってどんななものがるの?
こんな疑問に答えていきます。
OS(オペレーティングシステム)の役割は、コンピュータのハードウェアとソフトウェアの間で仲介を行い、効率的にリソースを管理・制御することです。OSの役割の1つにジョブ管理があります。
ジョブ管理について、見ていきましょう。
ジョブ管理とは?
ジョブ管理(Job Management)は、OSが複数のプログラムやタスク(ジョブ)を効率的に実行するために、各ジョブの投入から完了までの管理を行う機能です。ジョブには、ユーザープログラムやシステムが自動的に行うタスクが含まれます。
ジョブ管理の役割は以下の通りです
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ジョブのスケジューリング
ジョブの実行順序を決定します。OSはジョブの優先順位やリソースの利用状況を基に、どのジョブをいつ実行するかを判断します。 -
ジョブの投入と終了管理
ユーザーがジョブを投入した後、ジョブをメモリにロードし、適切に実行を開始し、終了後にリソースを解放します。 -
マルチタスクのサポート
複数のジョブを同時に実行するためのプロセス管理を行い、システム全体が効率的に動作するようにリソースを割り当てます。 -
ジョブキューの管理
実行待ち、実行中、終了済みのジョブをキューに入れ、実行状況を追跡します。
これにより、OSはコンピュータ資源を効率的に配分し、ユーザーが要求するタスクをスムーズに実行できるようにしています。
ジョブ管理の流れについて
ジョブ管理の流れは、ユーザーやシステムによって投入されたジョブ(タスクやプログラム)が、OSによって実行され、完了するまでのプロセスを指します。ジョブ管理の主な流れは次のステップに分けられます。
- ジョブの投入
- ジョブのスケジューリング
- ジョブの準備
- ジョブの実行
- 割り込み処理(必要に応じて)
- ジョブの終了
- 次のジョブの選択
1. ジョブの投入
ユーザーがプログラムを実行したり、システムが自動でタスクをスケジュールすることで、ジョブが投入されます。
ジョブは、最初はジョブキュー(待機キュー)に配置されます。このキューには、まだ実行されていないジョブがリストされています。
2. ジョブのスケジューリング
スケジューラと呼ばれるOSのコンポーネントが、どのジョブを次に実行するかを決定します。このとき、以下のような要因が考慮されます。
- ジョブの優先度
- ジョブの待機時間
- システムリソースの使用状況(CPUやメモリの空き)
OSには以下の2つのスケジューラが存在します。
- 長期スケジューラ:ジョブキューからメモリ内にロードするジョブを選択します。
- 短期スケジューラ:実行待ち状態にあるプロセスの中からCPUに割り当てるプロセスを選択します。
3. ジョブの準備
選ばれたジョブは、メインメモリにロードされます。ここで、ジョブは実行準備が整い、実行待ち状態になります。
メモリや必要なリソースがすべて利用可能な状態であれば、次のステップで実行が開始されます。
4. ジョブの実行
ディスパッチャと呼ばれるOSのコンポーネントが、ジョブに対してCPU時間を割り当てます。
ジョブが実行され、処理が進行します。この間、CPUはジョブの指示に従い計算を行います。
5. 割り込み処理(必要に応じて)
ジョブの実行中に、外部のイベント(I/O要求やタイマーの終了など)が発生すると、OSは割り込みを処理します。
割り込みによって、現在のジョブが一時停止し、別の高優先度のジョブが割り込んで実行される場合があります。このとき、一時停止されたジョブは待機状態またはブロック状態になります。
6. ジョブの終了
ジョブが正常に終了した場合、終了処理が行われます。
使用していたメモリやCPUなどのリソースが解放され、再び別のジョブに割り当てられるようになります。
終了したジョブは、ジョブキューから削除され、OSに完了を通知します。
7. 次のジョブの選択
終了後、スケジューラが再び動作し、次のジョブを選択して実行を開始します。このサイクルが繰り返されます。
まとめ
1. ジョブの投入 → 2. スケジューリング → 3. メモリへのロード → 4. 実行 → 5. 割り込み(必要に応じて) → 6. 終了 → 7. 次のジョブの選択
この一連の流れにより、OSはシステム全体のジョブを効率よく管理し、複数のタスクを円滑に実行します。
ジョブとは
そもそも「ジョブ」にはどんなものがあるのでしょう?ここでは、ジョブそのものについて見ていきます。
ジョブ管理で扱う「ジョブ」とは、コンピュータシステム上で実行される一連のタスクやプロセスのことです。ジョブはユーザーやシステムが実行する様々な指示や作業を指し、プログラムやスクリプトの実行、データの処理、システムメンテナンスなど、さまざまな種類があります。
ジョブには、主に以下のような種類があります。
- ユーザーによるジョブ
- システムによるジョブ
- バッチジョブ
- I/O関連のジョブ
- インタラクティブジョブ
- リアルタイムジョブ
- 分散ジョブ(クラウドや分散システムでのジョブ)
それぞれ具体的に見ていきます。
ユーザーによるジョブ
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プログラムの実行
例えば、テキストエディタ、ブラウザ、ゲームなどのアプリケーションを起動する際、それぞれがジョブとして扱われます。 -
コマンドラインでのコマンド実行
例えば、ls(ディレクトリの内容を表示)、cp(ファイルをコピー)などのシェルコマンドの実行もジョブの一つです。 -
スクリプトやバッチファイルの実行
ユーザーが書いたシェルスクリプトやPythonスクリプト、バッチファイルの実行は、ジョブとして扱われます。これにより、一連の操作が自動的に行われます。
システムによるジョブ
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バックグラウンドプロセス
OS自体が必要に応じて実行するプロセスもジョブとして管理されます。これには、デーモンプロセスやサービスが含まれます。
例えば、Webサーバーのプロセス(Apache、Nginx)や、システムの監視ツールなどが該当します。 -
定期タスクの実行(スケジュールジョブ)
定期的に実行されるタスク(例: 毎日夜に実行されるバックアップやログのローテーション)は、ジョブスケジューラによって管理されます。
例えば、cron(Linux/Unix系OS)やTask Scheduler(Windows)のようなジョブスケジューラによって、設定された時間に自動実行されるジョブ。 -
システムメンテナンスジョブ
OSやアプリケーションによって定期的に実行される、システムのメンテナンスに関するジョブ。
例えば、ディスクのデフラグ、キャッシュのクリア、ログファイルのアーカイブなどの作業。
バッチジョブ
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バッチ処理
バッチジョブは、複数のタスクをまとめて一度に処理するためのジョブです。通常、対話的でない大量のデータ処理や定期的な作業を実行するために使用されます。
例えば、毎夜の大規模なデータの集計処理、バックアップ、システム更新など。 -
データ処理ジョブ
大量のデータを一括して処理するジョブ。
例えば、データベースのメンテナンスやデータウェアハウスでのETL(Extract, Transform, Load)処理が含まれます。 -
プリントジョブ
ユーザーがプリンタに文書を送信する際、各印刷タスクはプリントジョブとして扱われます。プリントスプーラーがジョブを管理し、順番に処理します。 -
入出力(I/O)ジョブ
ディスクにデータを読み書きするジョブや、ネットワーク通信を行うジョブが含まれます。
例えば、ファイルをダウンロードする、データをバックアップするなど。 -
対話型のジョブ
ユーザーが直接操作しているプロセスで、リアルタイムで応答を待つジョブです。これには、テキストエディタやWebブラウザなど、ユーザーの操作を受けて動作するものが含まれます。
例えば、ユーザーがコマンドラインで入力を行って、即座に結果を得るジョブ。 -
リアルタイム処理
特定の時間内に処理が完了しなければならない重要なジョブ。主にリアルタイムシステムや産業機器、交通システムなどで使用されます。
例えば、工場の制御システム、航空機のナビゲーションシステムなどが含まれます。 -
分散システムでのジョブ
クラウドや分散システムにおいて、計算やデータ処理を分散させて実行するジョブです。これにより、大規模な処理が複数のコンピュータで並列に実行され、効率的に処理が進行します。
例えば、分散型のデータベース処理や、クラウドコンピューティング環境でのタスク。
I/O関連のジョブ
インタラクティブジョブ
リアルタイムジョブ
分散ジョブ(クラウドや分散システムでのジョブ)
まとめ
ジョブには、ユーザーが直接実行するプログラムや、システムがバックグラウンドで自動的に処理するタスク、データ処理や入出力に関する作業、スケジュールされた定期的な処理など、多岐にわたる種類があります。
OSはこれらのジョブを効率よく管理し、必要なリソースを適切に割り当て、ジョブの実行を調整します。
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